政略婚~腹黒御曹司は孤独な婚約者を守りたい~
取り繕えば、まだ許せたのに。

「信用ないな」

朱加里はまたうつむいた。
利害だけの関係だと思って傷ついているのだろうか。
今まででお互いを一番遠く感じたのはきっと気のせいじゃない。

「君を守ることができる人間はそう多くない。井垣会長が俺を選んだのはそれができると見込んだからだ」

朱加里は俺を見つめた。

「そう……そうですよね。すみません。お世話になります」

「謝られたいわけじゃない」

なんと言えばいいのだろう。
これじゃ、大家と下宿人じゃないか?
彼女相手だと、うまくいかない。

「自分の結婚相手だと思って接して欲しい」

自分の中にある気持ちを飾らずに言ってしまった。
失敗したと思っていたのに朱加里は顔をあげ、俺を見ていた。

「わかりました」

その返事にホッとする自分がいた。
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