政略婚~腹黒御曹司は孤独な婚約者を守りたい~
なんて失礼を―――と、思っているのは私だけのようで、家政婦さんは淡々としていた。

「どうぞ、お気になさらないでください。甘いお菓子もお持ちしますね」

家政婦さんはそう言いながら、マドレーヌやフィナンシェといった焼き菓子を小花を散らした模様の白い皿にのせてだしてくれた。

「お昼はいかがなさいますか。好き嫌いはございますか?」

「ございません……」

混乱しておかしな話し方になってしまった。
家政婦さんはにこりともせず、私の失敗を軽く受け流すとは掃除と観葉植物の水やりを始める。

「私もお手伝いします!」

手伝うべきだと思い、立ち上がるとそれをやんわりと断られてしまった。

「自分の仕事ですから」

それはわかるけど……

「朱加里様は座っていてくださいね」

「は、はい」

ちらちらと家政婦さんの存在を気にしながら、テレビをつけた。
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