政略婚~腹黒御曹司は孤独な婚約者を守りたい~
指輪をじっと見ていると他のテーブルで食事をしていた女性がこちらを見ていることに気づいた。
もしかして、知り合いなのかなと思って会釈すると、その女性は立ち上がり、こちらにやってきた。

「白河の壱都さんじゃなくて?」

黒のロングドレスを着たマダムだった。
美人で目元に泣きぼくろがある色っぽい女性。

「お久しぶりです」

「白河会長はお元気なのかしら?」

「もちろんです。分厚いステーキを口にするくらいに」

「まあ!それはよろしいこと。壱都さん、この方はもしかして、井垣のお嬢様かしら?」

「ご存知でしたか」

「ええ。壱都さんがご結婚されると聞いて、噂になっていましたのよ。朱加里さんでしたわね」

「はい」

「どうぞよろしくね」

「こ……こちらこそ……よろしくお願いいたします」

「今度、私の家のサロンに来てくださる?仲のいい奥様達とお茶会を開いていますの」

サロン?お茶会?
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