政略婚~腹黒御曹司は孤独な婚約者を守りたい~
真実を知る人
壱都(いちと)さんが取引先のパーティーにでかけたその日、私はお祖父さんが懇意(こんい)にしていた方々から会食に誘われて料亭に来ていた。
お祖父さんと同じくらいの年齢の方か、それより少し下の方ばかりで着物か上品なスーツ姿で、私は手を貸せるように動きやすいパンツスーツにパールのネックレスを身につけてきた。

「あと、どれくらい皆さんとこうして集まれるかしらねぇ」

そんなことを言いながら、お茶の先生がため息をついた。

「あら、お弟子さんが言うには先生はお弟子さん達より、お元気だとおっしゃってましたよ。むしろ、私の方が足も痛いし、腰もね……」

日舞の先生だって、まだ若々しく年齢よりずっと若く見えた。
運ばれてきた料理を食べながら、お祖父さんの若い時分はかなりモテたとか、商売上手だけど、奥様には弱かったなど、私が知らないことも聞けた。
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