政略婚~腹黒御曹司は孤独な婚約者を守りたい~
「もう一人の孫娘は馬鹿だったから、いらんと言ってやった。そんな時、お前が現れた。孫娘がどれだけ可愛くなったのかしらんが、あいつは連絡してきて、井垣の財産をくれてやるから、守ってやってくれとまで言っていた」

「お祖父さんだけは最初から私にとても優しかったです。だから、私にとって家族だと思えたのはお祖父さんだけでした」

ふんっと白河のお祖父さんは顔を背けた。

「それで、壱都とは仲良くやれそうか?あいつは優しげに見えるが、底意地の悪い奴だからな」

「そんなことないです!」

「ほう」

「壱都さんは優しい人です」

「そうか」

ふっとお祖父さんは笑った。

「疲れた。もう寝る」

「あっ……はい。すみません。長居をしてしまって。これ、お土産のフルーツゼリーです。井垣の祖父が好きだったんですよ」

「そのフルーツパーラーには二人でよく行った」

「そうですか」

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