政略婚~腹黒御曹司は孤独な婚約者を守りたい~
私が選んだお土産は間違いないようで、ほっとした。

「それじゃあ、失礼します」

一礼し、部屋を出ようとした時―――

「朱加里さん。壱都より長生きすることだ。先に逝かれるのは辛い」

顔は見えなかった。
けれど、私は再び、深々とお辞儀をした。

「また来ます。今度は壱都さんと一緒に」

返事はなかったけど、嫌だとは言わなかった。
気むずかしいけど、どこか壱都さんと似ている。
それを壱都さんが出張から帰ってきたら、教えてあげようと思っていた―――
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