政略婚~腹黒御曹司は孤独な婚約者を守りたい~
結婚するまでには俺も力をつけなければならない。
自分のためにも。
そして、婚約者である彼女のためにも。
「ご期待に沿えるよう海外支店で頑張ってきますよ」
心にもないことを言ってから、あの平凡な婚約者の顔が頭によぎった。
いまさらながら、自分のハンカチを受け取るのを忘れていたな、と思い出していた。
忘れるなんて、自分らしくもない失敗だった。
少しは俺も憎からず、彼女のことを思っている。
これが、いつか愛に変わるのだろうか。
俺は彼女の唇に触れた感触を思いだし、一人笑った。
白河の人間がそんな甘い気持ちを抱くとは思えずにいた。
まだこの時は井垣朱加里という無欲な存在を俺は理解してなかった。
そして、この後、思い知ることになる。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
―――おかしい。
俺は婚約したはずだ。
それなのになんだこれは?
『拝啓 陽春の頃、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
自分のためにも。
そして、婚約者である彼女のためにも。
「ご期待に沿えるよう海外支店で頑張ってきますよ」
心にもないことを言ってから、あの平凡な婚約者の顔が頭によぎった。
いまさらながら、自分のハンカチを受け取るのを忘れていたな、と思い出していた。
忘れるなんて、自分らしくもない失敗だった。
少しは俺も憎からず、彼女のことを思っている。
これが、いつか愛に変わるのだろうか。
俺は彼女の唇に触れた感触を思いだし、一人笑った。
白河の人間がそんな甘い気持ちを抱くとは思えずにいた。
まだこの時は井垣朱加里という無欲な存在を俺は理解してなかった。
そして、この後、思い知ることになる。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
―――おかしい。
俺は婚約したはずだ。
それなのになんだこれは?
『拝啓 陽春の頃、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。