天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~
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【魔界】


わけがわからない。


紅蓮が火炎術を放った瞬間、突然玲心が苦しみだした。


蘇生術をかけても効果はない。


どういうことなの?まさかあの火炎術に何か仕込まれていたの?


紅蓮は苦しむ玲心に構わず魔帝の元に向かった。


「白蘭」


何もできず、ただ狼狽え座り込む私に声をかけたのは月影だった。


月影の白い鎧が赤く染まっている。


「月影、傷を負っているの?」

「平気だ」


笑いながら言うが平気そうではない。血が滴るほどなのよ。


「月影、玲心の様子がおかしいの」

「…」


月影は苦しむ玲心を一瞥し首をふった。


「どうすることもできない」

「何かわからない?…紅蓮が火炎術を使ってからこうなったのっ」

「では紅蓮が何かしたのかもしれないな」

「そんな…」


今にも死にそうな玲心。でも月影は冷たく見ただけだった。

月影にとってはただの敵なのね…。


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