マエノスベテ

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「あなたたち、いい加減にしないと。いつでもLEDライトにつけたカメラが見ていますからね!」

ウシさんが声を張り上げる。
頭上には丸く光を放つ電灯があった。

「僕らは何もしていない」

彼が肩を竦める。

「まあ、騒ぎは勘弁かな。
ウシさんが知っての通り、僕はあまり僕のことが公になりたくない理由があるんで」

最近の監視カメラは良くできていて一見それとはわからないものが多く出ていた。
世間では防犯グッズとしてつい最近も、電気型カメラが発売されていたばかりだったが、その写真ではカメラ部分が大きくてそれとわかりそうな作りだった。しかしこの家のカメラはよくできていたのか、じっとみてもなかなかそれとは思わなかった。
「しかしよくできていますね」

 彼は関心しながら言う。
心から感心しているみたいだった。

「確かにこの部屋、一見それとわからないですがあちこち見通しが良さそうです」

 なにかを思い出したのか、クスクスと笑っている。

「な、どこの部分?」

ぼくがさりげなく訪ねると、彼はそれを言うと面白くないなどと答えただけだった。
彼の携帯が着信を知らせる。
失礼、と携帯を開いた彼は、すぐに苦笑いした。

「ハハハ、よろしく、ってさ。ま、そんな約束だから仕方ないか」

2019/05/30 23:11
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 すぐに、携帯を持ったまま彼は彼女を手招きした。
彼女は黙ってやってきて頷いている。
「少し、見てもらいたい」

ぼくが近くに行こうとすると、彼は後でわかると言って拒否した。
 そういえば相談に来た当初、あまりぼくは詳しい部分、二人が何を話したか全て知るわけではないことを今更のように感じる。どことない疎外感のなかで二人が画面をのぞき込む。
「そうです、はい」

 彼女はなにかを納得したように頷く。

「それは良かった、ひと安心だよ。今日はありがとう。ではまた後で……一時間後に、今度は二人きりで会えるかな、連絡先を聞いていいかい?」

 ぼくがぽかんとしている間に彼は優雅な動作で彼女の手をそっと握った。
彼女は慌てて近くの紙に鉛筆で、番号を記した。

「はい、此処に」

それからすぐに放すと、ぼくの背を押す。

「帰ろう」

「え? あの、いいの?」


「うん。ご馳走にもなったし、これ以上の長居は無理そうだからね」

にっこり。ヒロインさながらの笑顔だ。
2019/05/31 21:08
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