マエノスベテ

109
「なっ……」

ウシさんが唇をわななかせ、顔を青くした。

「なんのことでしょうかね!
え? 兄が、なんですか?
お兄さんへの中傷は許しがたい。あくまでもあなたの話を私はしているのですよ。
ここはそういう場面です、ちょっと言ってることがわからない」

「あなたの主張に対しこちらがそう罪悪を覚えなくてはならないほどのものはないと言っているんです」

ウシさんは、はぁあ、と呆れとため息を混ぜたような機関車が急に走りだして周りを置いていったような態度を見せた。

「案外、あの人は義兄がよいのでしょう、だから女の格好までさせて隣に置いていた。
ならばそうなされば良いじゃないですか、あなたたちには心底呆れます。
私に通じる係累たちの血も流れているでしょうから、私のようなものでは?
私は見合いもしませんし、皆さん破綻を喜んでおられます!
新たな門出、おめでとう」


 彼女は高らかに笑って手を叩く。

ウシさんは激昂したままに彼女を睨み付け……るのを堪えて強引な笑顔を作る。
それは白々しいものだったがあえて指摘することもないだろうと皆合わせていた。

「考え直しましょうよ、ね?
さっき、私に理不尽に怒ったことはまず、謝りなさい」

「なぜ、謝るのですか?
みんなして謀って居るのでしょう。わざわざ女装だなんて、脅すにもばかばかしい。
見下げ果てる兄ですね。
私には一切の感情の自由も意思も許さず一生を過ごさせて、
自分達は輪の中で楽しくしたかったでしょうけれど、この通りに破綻しだしておりますから、もはやそうは行きません」



2019/08/17 00:10



FIN.
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