黒歴史な天才外科医と結婚なんて困ります!なのに、拒否権ナシで溺愛不可避!?

 もうお願いだから家につかないでくれないかと思っても、たった2駅分。
 タクシーは30分もしないうちに我が家に着いた。

 修はすぐに支払いを終え、まるで逃がす気なんてないと言うように、私の腰に手を回して私を連れて家に入る。

 修が玄関の鍵を後ろ手で閉めると、靴も脱がないまま無理矢理にキスをされる。すぐにするりと入り込んでくる修の舌に、口内を全て奪われつくす。

 その瞬間、また、あの日のことを思い出して、身体を固くした。

「もしかして、あの日のこと思い出した?」

 修が静かな、低い声で私に問う。口元は笑っているのに、目は全く笑ってない。
 その表情に、またゾクリと背中が冷えて固くなった。

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