今日も久遠くんは甘い言葉で私を惑わす。
「あっ……!う、うん……!」


まさかとは思うが天音は僕にぎゅっと抱きついてきてくれた。


「えへへ……」

「っ……天音さぁ、誘拐されちゃうんだったら……」

「……?」


あー可愛い。


「僕が拐ってあげる」

「……ふぇ?な、なに言ってるの……!?」

「だから、誘拐犯に捕まる前に僕が捕まえてあげる。天音のこと」

「け、結構です……」


残念だな。


「っていうか、嘘って可能性はないの?先輩」


白雪の質問なんか無視したいけど、天音も気になるのか愛らしい目で僕を見つめてくるから答えざるおえない。


「ないな。」

「どうして」

「……それは予告してきたヤツらは俺を誘拐してきたヤツらだからだ」

「ふぇ……?そうなの?」


天音の目に涙が浮かぶ。


僕は優しく涙を拭い、天音の小さな頭を撫でる。
 

「まぁ大丈夫だ。天音は俺が守るからな」
 
「久遠くん……」


天音は僕に抱きついてきて、ボソッとなにかを言い始めた。


「伯斗先輩、偽物みたい」

「……偽物?」

「うん……なんだか様子がおかしいの。顔色が悪いし、笑顔が宝物で……」

「そうか?」


天音は人を見る目もあると思うし、東方城のことは詳しく知らないから、天音の言っていることは本当だと思う。

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