今日も久遠くんは甘い言葉で私を惑わす。
「……それで……アイツに、変なことされなかった?」
「アイツって、さっきの人のこと……?」
「ええ」
変なことっていうか……。
「ちょっとぎゅって、されたかな……」
「そう……いい?アイツが噂の理人よ」
「えっ……!?」
あの人がっ……!?あの、理人、さんっ……!?
「そ、そうだったんだっ……」
た、たしかにすごくかっこいい人、だと思うけど……。
「はぁっ……本っ当危ない。気をつけなさいね」
「う、うん!」
「っていうか、理人とは関わっちゃだめよ」
「わ、わかったっ……!」
コクコクと勢いよく何度も私は頷いた。
「……とは言っても、まずいわね」
「?、どういうこと……?」
まずいって……?
「目つけられたっぽいし、これか———」
「なんでそんなに詳しいの?」
さっきから陽奈ちゃんの話を聞いていると、とても理人さんのことについて詳しいように見える。
「え?ああ、それわね」
「うん?」
「あたしたち、幼なじみなのよ」
「へ!?」
お、幼なじみ!?
そ、そうだったんだっ……!
「ちなみに、颯も幼なじみよ」
「へぇっ……!そうだったんだっ……!」
「小さい頃はよく遊んでたんだけど……どんどんアイツ(理人)の素性知ってちゃってね」
「そ、そっか……」
私と陽奈ちゃんと颯くんは幼なじみだけど、理人くんとふたりが関わりがあったなんて……。
「……だから、明日から、っていうか、もういまから、久遠かアタシといるのよ?」
「りょ、了解ですっ……!!!」