HONEYHOLIC(2)運命ウエディング~身代わり見合いの代償は溺愛~
私たちは逢沢さんが運転する車で自宅マンションに向かった。
結局、私は後片付けも手伝わず、帰ってしまった。

「夫婦になって初めての夜だと言っていたが…期待していいのか?」

「え、あ…あれは…」

彼の熱っぽい眼差しに全身が紅潮した。
「冗談だ…期待されても…今夜は無理だ」



彼は膝の上に置かれたタブレットに見つめ、嘆息した。

「俺が居ないと会社はダメみたいだからな…」

「帰宅したら、眠気覚ましのコーヒーを淹れます」

「サンキュー」

「あの…」

「なんだ?」

「達生さん…私に記憶がないとお義母さんに言ってましたが。何の記憶ですか?」

「・・・さあな…」

達生さんは私の問いを無視して、タブレットでメールをチェックを始めた。

「・・・」

私は何も答えて貰えないまま、車窓に目を遣った。


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