実らない恋だとしても… あなたへの想いが溢れそうです


環も頷きながら当時の思い出を語る。

「あの頃は家の為の結婚。だから自分の意志とか気持ちとか無視されちゃうのよね。」


「真穂さんに、何を感じるんですか?」

「何となくだけど…無理やり被らされた殻で覆われてる感じ?
 もっとスケールの大きな子だと思うのに、小さく小さく固められてる。
 だって、あんなに頑張ってるのに自己肯定感が低いのよ。」

「控えめな性格だとは思ってましたが…。」

「きっとあの子、何をしても褒めたり感謝されたりしたことが無いのよ。」

「ああ、言われてみれば…。」
佐竹も思い至る事があったようだ。

「何でも出来て当たり前って感じだったんでしょう。」

「家族にそんな風に扱われたら悲しいですね。」

真穂は、自由に生きてきた恭介とは全く違う子供時代を送ったのだろう。

「私もそうだった。解放されたのは40過ぎてからよ。」

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