実らない恋だとしても… あなたへの想いが溢れそうです


「今の明るい環さんは、40代で作られたって訳なんですね。」
「そうなの。だから真穂さんも、早く解放された方がきっと幸せになれるわよ。」

「じゃあ、僕が…。」

恭介の言葉を、環が遮った。

「だから…どうかしらねって思うのはね、あなたじゃダメかもって事よ。
 あの子、辛い恋をしてるんじゃあないかな~て感じるの。」

「まさか!」


「時々、遠い目をするでしょ。」

佐竹が頷いた。心当たりがあるようだ。

「ああ…そうだね。古い美術品を見ている様で、遠くを想っている感じ。」

「そうなんですか…。」

「彼女をそんなに惑わせる男性って、どんな人かしらね…。」

「彼女の良さをわかってくれてる人ならいいね。」

佐竹と環は、まだ想像でしかない真穂の想い人に興味津々だ。

「それでも、僕は諦めませんよ。彼女の気持ちは掴んで見せます!」

恭介は、まだ見ぬ相手に宣戦布告する気満々だ。

「ハイハイ、頑張ってね。応援はし・な・い・わ。」
「僕も、見守る(・・・)事にしますよ!」

恭介の思う様には、老獪な二人は動かないと宣言されてしまった。







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