実らない恋だとしても… あなたへの想いが溢れそうです


「大丈夫ですか?」

真穂が使っている和室まで、恭介は付き添ってくれた。
環が洸の母だと知って極度に緊張したせいか、真穂の身体はフラついていたのだ。

「橘さん…。プライベートの事でご心配おかけしてすみません。」
「いえ、気にしないで下さい。あなたのそんな顔を見ていられなくて。」


俯く真穂の横顔を、恭介は美しいと感じた。

仕事をしている時の堅い印象の彼女と違って、今は限りなく女を感じさせる。

「彼なんですね?」
「はい?」
「あなたの心を乱していたのは…。あなたの心にいる人は…。」


「お答えできません…。」


今、自分の気持ちを打ち明けたら洸にも環にも迷惑が掛かる。
私の勝手な想いだから、誰にも知られたくない…。

『この気持ちだけは隠さないと…。』

「真穂さん、あなたを問い詰めるつもりはありません。ただ…。」
「ただ?」

「あなたに、私の事も考えてもらえたら嬉しいです。」


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