実らない恋だとしても… あなたへの想いが溢れそうです


「お仕事のことでしょうか…?」
「まさか、あなたとのお付き合いの事ですよ。」

「えっ?」
「答えを急がせるつもりはありません。ゆっくりと考えて頂きたい。」

「橘さん…。」
「彼と、私と、どちらがあなたの人生のパートナーに相応しいか。」
「私なんて…。」

「その言葉は禁句です。」

「あっ、すみません。前にも言わた事がありました。口癖になってしまって…。」


「彼にも私にも失礼ですよ、あなたは、私達に求められている。」


「…求められる?」

愛しい人(マ・シェリ)…。」
「橘さん…。」

恭介が真穂の頬に手を伸ばしてきたが、真穂は咄嗟に避けてしまった。
それが、真穂の正直な気持ちなのだろう。

触れて欲しいのは恭介ではない。洸だけだ。

長いため息を恭介がついた。キスを避けられたのは初めての経験だ。

「…真穂さん、私は諦めが悪い男です。覚悟して下さいね。」


恭介はそう言い残して部屋から出て行った。

< 169 / 202 >

この作品をシェア

pagetop