実らない恋だとしても… あなたへの想いが溢れそうです
その姉の方が、今度はカタカタと古い自転車を押しながら門から出てきた。
制服のまま、買い物袋を自転車の前かごに入れている。
『高校生が…。何て格好だ…。』
いわゆるママチャリで買い物なんて、女子高校生らしくない。
なんとその娘は通りかかった近所の主婦とも、ニコニコ顔で会話し始めた。
女子高生が井戸端会議か?
「真穂ちゃん、お買い物?」
「はいっ。スーパーまでチャリで行ってきます。」
「今日、駅裏のスーパーはお野菜がお買い得だったわよ。」
「わあ、ありがとう。じゃあ、そっちに行こうかな?」
「いつも大変ね~。気をつけていってらっしゃい。」
「はーい!さようなら。」
その娘は自転車を漕いであっという間に角を曲がって行ってしまった。
『何だ、あれは…。』
生活感に溢れているというか、なりふり構わないというか…。
洸のイメージしている『女子高生』とはかけ離れた存在だった。
『確か、俺より8つくらい年下だったかな。』
それが、洸が真穂を知った日の出来事だった。