実らない恋だとしても… あなたへの想いが溢れそうです
『何が運命の恋だ…。』
そんな物の為に、自分と母親の人生は狂わされたのだ。
洸は父の生き方を教訓に、自分は仕事に生きようと心に決めた。
だが、貴子が産んだ半分血の繋がった妹の存在は気になった。
不倫カップルから生まれた妹は、貴子の夫の戸籍で育てられているという…。
『バカな親父だ…。』
取りあえず、そっと妹の様子を見に田所家に行ってみた。
その家は世田谷にあって、古いが美しく手入れされた純日本風の家屋だった。
パッと見てすぐわかった。
門の近くに立っている、色白で目の大きな可愛い子…。あれが妹の夏子だろう。
だが、何だが様子が変だ。やけに怒っている。
その側で、一生懸命宥めているのが貴子の産んだ上の娘だろうか…?
制服姿で背にラケットをしょっている。
健康そうな女子高生だ。部活帰りだろうか。
ようやく落ち着いたのか、姉に抱きかかえられるようにして妹は家の中に入っていった。
何だか声も掛けられなかったな…。と思い、帰ろうとしたら…。