実らない恋だとしても… あなたへの想いが溢れそうです
エレベーターに乗って、今度こそ田所家に送ってくれるのかと思ったら
洸はカードキーを使ってから、上階のボタンを押した。
「上に何かあるの?」
洸は黙っている。
エレベーターはすぐに止まった。
「降りて。」
洸に腕を取られたままエレベーターから降りたら、
狭いエレベーターホールの前にごく普通のドアがあった。
「ここは?」
「俺の部屋だ。」
「ええっ!」
洸がカードキーでドアを開けると、確かにマンションの部屋のような造りになっている。
「知らなかったのか?」
「ここに…あなたが住んでるの?」
洸が自社ビルの上に住んでいるなんて聞いていなかった。
きっとどこかのタワマンで、気ままな一人暮らしをしているとばかり思っていた。
「仕事と直結してるから便利だと思って。
この部屋は、ホテルの特別室だったところを改修したんだ。」
言われてみれば、あちこちの装飾に豪華さもある。特別室だった名残だろう。
「真穂…。ここをお前に見せたかった。」
「私に?」