君とベビードール
「落ち着くまで、こうしていよう。ね?」
またも続く、優しい声色。
こくん。と、頷くとさらに強くあたしを抱きしめる腕。
あたしの顔の正面には、ストライプのネクタイ。
准さんのネクタイと似てるなぁ…。
相変わらず思うのは准さんのことばかり。
手のひらの暖かさも、優しさも准さんに、似ているひと。
広い胸からは、煙草のにおいがした。
准さんは、煙草を吸わない…。
その事実が、どんなに優しい手のひらでも、声でも、胸でも、このひとが准さんではないことを告げていた…。