君とベビードール



ちょっとの沈黙のあと、及川くんが話し出すために、息を吸う音が聞こえた。



「清水さぁ。変わってないのな。その香水。」



弾かれたように、顔を上げたあたしに、



「さっきもさぁ、道端でしゃがみ込んでるなんて、危ないなーって思って、肩を叩いたら高校ん時の清水の香水の香りがしてさ。なんか、反射で清水って呼びかけたら、本当に清水でびっくりしたよ。」



微笑んだ及川くんをみているうちに、目頭が熱くなって気がつけば…




「…って!えぇー!!ちょ、清水!どうしたんだよ…」



うろたえる及川くんの前で、盛大に泣き出していた。
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