君とベビードール




「みんなねぇ、嫌々提出しているのが、分かる文章なんだよ。君のは、読んでいて、楽しいよ。」




先生は集めた原稿用紙全てに、必ず赤ペンで一言添えてくれた。あたしは、それも、嬉しかったのだけれど。




「でもあたし、本当に先生の授業が好きです。」


「…じゃあ、桜。」



は、はい…?



またもや、唐突な先生の言葉。もはや、主語すらないし……。




ぽかーんとする、あたし。
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