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美乃さんのところに訪れるとまたお菓子の匂いがした。遊馬さんがいるのは本当らしかった。

「こんにちは。」

挨拶をすると、奥から返事が返ってきた。
声からして美乃さんではなかった。遊馬さんだ。

縁側で靴を脱ぎ、廊下を通る。
キッチンのところまで行き、遊馬さんに美乃さんがどこにいるのか聞く。

「遊馬さん、美乃さんはどこにいますか?」

彼は困惑の顔を浮かべて少し黙る。

「えっ?美乃さんはこれから1週間は友だちと旅行にいってるけど。」

えっ?待って、わたしがえっ?なんだけど。
そんなの聞いてない。

「ごめん。あの人いつも言葉足らずだから。」

どうしようかな。美乃さんに会うためにきてるのに意味がない。

「気にしなくていいよ。いつものことだし。
後で連絡しておくから。」

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