あ
「でも、本当にすごいと思います。」
心からそう思った。わたしにはできないことだ。
「そんなに褒められることじゃないけど、ありがとう。」
遊馬さんは少し耳を赤くして微笑んでいる。
「このノートって他に何冊くらいあるんですか?」
わたしはもっと遊馬さんと話したいと思った。
「あと4冊くらい。何度か同じものを作ってレシピを書き換えたりしてる。それより、雛木さんは将来何か考えてる?」
ずっと遊馬さんに向けていた目線が畳を映す。将来の話は得意ではない。
「‥これと言ってなにも考えないです。」
嘘。本当はしたいことがある。
でも、こんなに楽しそうに自分の将来のために頑張っている人にわたしはなにも言えない。
中学のころも今も周りの子たちに合わせたことしか言ってこなかったのだから。