あなたに、キスのその先を。
「あっ、あのっ、あのっ、修太郎……さんっ?」

 ドキドキしながらなおも口づけを受けまくる手指を、それ以上お口に含まれないようキュッと握り込んだら、「目覚めたら口元に日織さんの美味しそうな指先があったので、てっきり食べて?っていうお誘いかと思ったんですが……。違いましたか?」とクスクス笑われてしまって。

「ちっ、違いまっ――」

 慌てて身体を起こして言い募ろうとしたら、
「日織さん、ホント可愛いです。耳まで真っ赤になって……」
 修太郎さんの手が、私の手首から離れて耳元に伸びてきました。

 私に合わせて、ベッドに半身を起こしていらした修太郎さんに、優しく髪の毛を掻き分けられて耳朶(じだ)をなぞられます。私は、その感触にゾクッと身体を震わせました。

「ひゃっ。しゅう、たろさん。それ……気持ちいっ、ので……ダメ、ですっ」

「どうして?」

 ――どうして気持ちいいのはダメなんですか?
 修太郎さんに抱き寄せられて、耳元でそう(ささや)かれます。

 私は首をすくませて、私の腰を抱きしめていらっしゃる修太郎さんの逞しい腕をペチペチと叩きながら、抗議の声をあげました。

「だって、私っ、お……」
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