ママになっても、極上ドクターから独占愛で迫られています
 
 十分ほど前からリビングから元気な声が響いていた。ドアを開けると、さすが男同士というのか、私とはやらないような身体を張ったアグレッシブな遊びをしている。

 飛行機と呼ばれる親子体操で、蒼さんは仰向けに寝転び膝を立て、蒼斗のお腹をすねに沿わせるようにくっつけた体勢で脚を上に持ち上げる遊びだ。

 スーツに皺がつかないか少しだけ心配だけれど。

「すごいねえ」

 ふふふ、と声を立てながらふたりの姿を写真に収める。

「ママが来たから終わりだ」

「えー」

「約束しただろう?」

 納得できないという表情をしている蒼斗には悪いが、今日ばかりは時間を譲れない。

「ごめんね。ママ、蒼さんとどうしてもお話がしたいの」

 両手を合わせてお願いすると、蒼斗は身体を揺らしたりくねらせたりしながら自我と闘う。

「とうしゃん、しゅき?」

「えっと……蒼さんが好きだから、お話したいの? って聞いているのかな?」

「うん」

 ドキッとしたけれど、もう心を決めているから素直にうなずけた。
< 155 / 193 >

この作品をシェア

pagetop