ママになっても、極上ドクターから独占愛で迫られています
「俺も着替えてくる。蒼斗も来るか?」

「いくー」

 嬉しそうにはしゃぐ姿がとにかく可愛い。

「ありがとう。化粧に集中できなくて、時間がかかっていたから助かる。あと、準備がきたら話があるの」

 蒼さんは一瞬だけ動きを止めたが、すぐにいつもの顔になってうなずく。

「わかった」

「あーいっ」

 蒼斗も手を上げるものだから、緊張感が少し和らいだ。ふたりが出て行ってから胸に手をあてる。

 ドクドクと激しい動きをしている心臓は、なかなか落ち着いてはくれない。

 莉々沙先生についてはもういい。だけど蒼斗の出生についてはなにがなんでも両親に会う前に話しておかなければいけない。

 もう気づいているだろうから今さら感は半端ないが、それでも言うのと言わないのとでは天と地ほどの差がある。

 左目のアイラインを引こうとしたが手が小刻みに震えていて、仕方なくヘアセットから取りかかることにした。
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