ママになっても、極上ドクターから独占愛で迫られています
 建物の外に出て、日課にありつつある敷地内の庭のベンチに座り、今にも雨が降り出しそうな黒い雲を眺めながら深い溜め息をついた。

 ひとりきりになると、どうしても暗い気持ちに飲み込まれそうになる。

 母親とふたりでここまでやってきたのに、このまま目覚めなかったら……。

 最悪な考えが脳裏をかすめて頭を抱えた。

 しばらくして、ぽつぽつと雨粒が身体にあたる感触があったが、心も身体も鉛のように重たくて動けない。

 背中を丸めたままジッとしていると、砂利道を踏み鳴らす音が微かに聞こえて顔を上げた。

 もう辺りは闇が広がり始めている。雨が降っているのにベンチから動かない、変な人がいると思われたら困る……。

 そう思って前方に向けた瞳に映ったのは、ビニール傘をさした背の高い男性。

 こうして遠目から見ると、改めて彼のスタイルのよさを実感する。

「金森さん」

 呼ばれて、母親になにかあったのではないかと心臓に冷水をかけられたかのようにヒヤリとし、飛び跳ねるように立ち上がる。
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