ママになっても、極上ドクターから独占愛で迫られています
「よかった。正直振られる覚悟をしていたんだ」

 安堵の声をこぼして椅子に背を預けた彼の顔をジッと見つめた。

 私が振るなんて、まさか。

「脈ありだから告白をしたんじゃないんですか?」

「みちるちゃんは誰にでも親切だから、俺に優しくするのも深い意味はないと思っていたよ」

「私もまったく同じことを思っていました。毎日の電話も、患者家族を放っておけないからだとばかり」

 驚きで目を瞬かせると、大槻先生は緩やかに首を左右に振る。

「仕事を円滑に進めるため職場ではいい顔しているのは認めるけど、プライベートはそうでもない。四六時中愛想よく振る舞っていては身体が持たないし、優しい態度を取るのは好きな女性にだけだよ」

 等身大の発言に親近感を覚えてクスリと笑った。

 もしかしたら過大評価しているのは私も同じかもしれない。でも本来の大槻先生が想像していた人物像とかけ離れていても、私はそれでも彼と交際をしてみたいと望んでいる。

 あの綺麗な指先で触れてほしいし、形のいい薄い唇に触れてみたい。

 密かに抱いていた恋心に蓋をしなくていいとわかった途端、彼を欲する激情が込み上げて戸惑った。

 雲の上の存在である彼に告白をされて舞い上がっている。ちょっと落ち着かなきゃ。
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