【2/4 番外編追加】一夜の恋じゃ終われない 〜冷徹ホテル王の甘い執着〜

 俺はエレベーターに乗り込み、減って行く階数表示を見つめながら改めて自分に誓い直す。

 ――絶対に菜月を手放さない……絶対にだ。


 エレベーターが開くと、予想に反して玄関ホールにその人は立っていた。
 彼女は俺を見た途端嬉しげに顔を綻ばせる。

 ――これは運命に抗おうともせずに流れに身を任せて来た俺への報いだ。

 まずはこの問題をクリアにしないことには先に進めない。

 俺はキャリーケースを引いてエレベーターを降りると、いつもの上品ぶった笑顔を貼り付けて、俺の婚約者……間宮環妃(まみやたまき)の元へと足を進めた。
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