【2/4 番外編追加】一夜の恋じゃ終われない 〜冷徹ホテル王の甘い執着〜

 同棲までしているのに今さら初夜でもないんじゃ……と思いつつ、やはり『初夜』という単語は魅力的で。

 艶のあるバリトンボイスが鼓膜に響くと背筋を微量の電気が伝い、爪先まで痺れたようになってしまう。

 私が赤い顔でうなずくと、臣海さんは私のバスローブをはだけて胸の谷間に口づけた。

 リップ音と同時にチクリとした痛みを感じ、彼がキスマークをつけたのだと気づく。

『菜月、今日はじっくり甘やかしてトロトロにするから。久しぶりだし……初夜だからな』

 彼の言葉と蠱惑的な笑みに子宮が疼く。
 たしかにここ10日程はすれ違い続きで抱き合えていなかった。

 今日は時間を気にせず肌を重ね合わせることができるのだと思うと急速に心拍数が上昇する。

 ――これじゃ本当に初夜みたい。

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