【2/4 番外編追加】一夜の恋じゃ終われない 〜冷徹ホテル王の甘い執着〜
「いつもみたいに日本の酒蔵に買い出しに行ってたんだけど。帰りの機内で隣り合わせた子が窓から外を眺めながら涙を流しててさ。それがやけにキラキラしてて放っておけなくて、気づいたらハンカチを渡してたんだ」
「それさ、キラキラして見えたのは涙じゃなくてその子そのものだったんじゃないのか?」
「えっ!?」
――おいおい……!
冗談半分で言った俺の言葉に悠が固まった。
おい、何を『今気づきました』みたいに驚いているんだ。シェイカーを振る手が止まっているぞ!
俺は一目惚れなんてものは信じていないが、運命の出会いがあることは身をもって知っている。だから『これは』と思って言葉を続けた。
「相手はどこのどんな女性だ。一緒の飛行機ってことは、彼女も今NYにいるんだろ? ここに呼び出せよ」
「いや、名前も何も知らない」
「はぁ!?」
そのときカウンターの左端に客が座り、悠が離れていく。