【6/15番外編追加】一夜の恋じゃ終われない 〜冷徹ホテル王の甘い執着〜
「日本語で大丈夫ですよ」
「あっ、はい」
彼女は悠の言葉に軽く頷いただけで、そんなのはどうでもいいとばかりに手元のスマホに目を落とす。
ため息をついたと思ったらすぐに高速で文字を打ち込んで、またため息をつくを繰り返している。
――これは男絡みだな。
長年ホテルマンをしていれば大抵わかる。これは男と待ち合わせをしているのだろう。しかも上手くいっていない。
いや、この表情だ、すでにフラれた後なのかもしれないな。
そんなふうに考えていると、今度は「違うか、始まってもいなかったんだ」という呟きが耳に飛び込んでくる。
――フラれたのか。
ご愁傷さま……とそちらを見ると、彼女が目の前に置かれたトールグラスを鷲掴み、中のカシスオレンジを一気に飲み干した。
「オカンで悪いか!」
空のグラスをドンと置き、口元を拭いながら「アルコール度数の高いカクテルをください」と告げるのを見て、これはヤバイぞと直感する。