冷徹弁護士、パパになる~別れたはずが、極上愛で娶られました~
もう一度向き合いたい――side至

【好きな人ができました。相手は、同じ学校の体育の先生です】

 三年前の秋、なぜか職場に届いたその手紙の一文を、俺は信じられない思いで何度も読み返していた。

 その数日前には、話があるからと約束した喫茶店に彼女は現れず、事故にでもあったのでは?と心配になってかけた電話は、繋がらなくなっていた。

 ……芽衣は、人の痛みがわかる女性だ。こんな行動は彼女らしくない。

 俺は一方的に告げられた別れにとうてい納得できず、手紙を受け取った日の夕方、仕事を早めに切り上げて彼女の職場である幾望学園まで足を向けた。

 校門のそばで彼女が出てくるのを待とうと思っていたら、ちょうど校外をランニングしていた生徒の一団が帰ってくるところだった。

 芽衣に会いたくて気が焦っていた俺は、先頭を走っていた顧問らしき男性教師を思わず呼び止める。

「すみません、スクールカウンセラーの観月先生に用があるのですが」
「……どちらさまですか?」

 筋肉質な体つきをした教師が、もともと細い目をさらに細めて訝しげに俺を見る。

 俺としたことが、気持ちばかり先走って名乗るのを忘れていた。

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