冷徹弁護士、パパになる~別れたはずが、極上愛で娶られました~

 しかし、俺より先に派手なピンク色のスーツを纏った男が芽衣に声を掛け、彼女を口説いているようだった。

 先を越された、と舌打ちをしたくなりながら、ふたりの動向を見守っていると、雲行きが怪しくなってきた。男が明らかに困っている彼女の手を強引に引いているのである。

 助けに入ろうとふたりに近寄る途中、男の顔に見覚えがあることに気づく。

 アイツ、難波じゃないか? 三船さんのセクハラ案件の。……ますます彼女が危ない。

 俺はふたりの間に割って入り、難波を撃退することに成功。かくして芽衣に近づく機会を得たわけだが、彼女の無防備さが気になってつい説教をしてしまった。

『すみませんでした。今後は、同じ目に遭わないように十分気をつけます。では……』

 意気消沈した芽衣は、そう言って俺から離れようとする。

 元々持つやわらかなオーラに憂いまで加わった彼女が、また変な虫を寄せ付けてしまうのは必然。同じ目に遭いたくないのなら、虫除けをそばに置いておくべきだ。

 なんていうのは建前で、本当は自分が彼女と話したいだけだが。

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