冷徹弁護士、パパになる~別れたはずが、極上愛で娶られました~

 その場に立ち尽くして言葉を失っていると、至さんがゆっくり歩み寄ってくる。

「どうしたんですか? なんで、こんな場所に……」
「娘が通う保育園を見にきた」
「えっ?」
「成優ちゃん。……俺たちの子なんだろう?」

 とっさに否定の言葉が出ず、ただ瞠目して彼を見つめる。至さんはすべてを悟っているかのように、静かな目をしていた。

「芽衣。答えてくれ。きみの口から本当のことを聞きたい」

 どうして彼がその結論に至ったのか知らないが、真剣な至さんに問い詰められ、私の心は揺れ惑う。

 そうだと言うのは簡単だけれど、彼はその先をどう考えているのだろう。

 単に事実を知りたいだけなら、本当のことなんて言わない方がいい。成優の前で、むやみに父親だと名乗り出てもらうのも困る。私たちは今、母子ふたりでうまくやっているのだ。

「あなたには関係ありません。私たち、もう終わったでしょう?」

 言いながら、自分の胸が痛むのを感じた。至さんを傷つける可能性のある発言だとわかっているからだ。けれど、成優のためにもここは引けない。

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