冷徹弁護士、パパになる~別れたはずが、極上愛で娶られました~

「これからもうひとり子どもが増えるんだ。収入が多い方がいいに越したことはないと、俺もわかっているんだが」

 歯切れの悪い言い方だが、なんとなく彼の言いたいことに察しがついた。

「もしかして転職するんですか? 至さんのやりたいことがあるなら、収入がどうなろうと応援します。私はこれから産休に入るとはいえ、仕事は続けるつもりなんですから、そんなに心配しなくても――」
「違う。逆だ。転職は〝しない〟」

 転職しない? 私が目を瞬かせていると、今までリビングでジグソーパズルに集中していた成優が、「パパおかえり~」と彼の脚に抱きつく。

「ただいま、すごいな成優、あんなピースが多いパズルできるようになったのか」
「うん、ほいくえんでもね、せんせいにほめられる」

 至さんは得意げな成優の頭をよしよしと撫でると、そのまま成優を抱き上げて話し始める。

「実はな、外資系の大手事務所からヘッドハンティングされていたんだ。大手企業同士のM&A案件や国際取引を手掛けるような法律事務所で、もし受けたら、収入は今より格段に上がるだろう」

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