冷徹弁護士、パパになる~別れたはずが、極上愛で娶られました~

「どなたか存じませんが、ご心配には及びません。女性は往々にして嫌がっている〝フリ〟をするものです。一種のプレイなんですよ、ねえ? 観月さん」

 難波さんがにこりと微笑んで私を見る。しかし目の奥は笑っておらず、私に〝そうだと言え〟と命令しているかのよう。

 この男、ナルシストな上にモラハラ気質もあるらしい。ついて行ったら一巻の終わりだ。

 だけど、反論して逆上されても困るし……。

「なるほど。そのような勝手な理屈で職場の女性にも手を出していたわけですか。難波狩さん」

 美形の男性が、嘲笑するように言った。難波さんを見据える目は完全に呆れている。

「……なぜ、僕の名前を? 今日は男性に自己紹介した覚えはありませんが」
「ああ、申し遅れました。私は弁護士の郡司(ぐんじ)と申します。今日このパーティーに参加したのは完全にプライベートでしたが、上司の扱うセクハラ案件に加害者として関わるあなたの姿があったので驚きました」

 難波さんはパッと私の手を離し、目を泳がせた。そのわかりやすい仕草は、行動心理学で言うところの〝なだめ行動〟。不安や不快をなだめたい時、人が無意識に取る行動だ。

 郡司さんの口から出た加害者という言葉に、思い当たる節があるのだろう。

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