4人のお兄ちゃんは王子様!?
≪大雅side≫




あれからしばらく経った。



結衣はもう足の具合もだいぶ良くなったみたいだ。

前よりもだいぶ笑顔が増えていた。

でも俺は思う。

悲しみの刻印は二度と消えることが無いんだ。

結衣は一生あの出来事を忘れる事は出来ないだろう。





そして……


大「はぁーーーーー!?!?!?」


俺は今朝瑛斗兄から渡された雑誌を見て思わず声が出た。

こ、こ、これ…一緒に写ってるの結衣だよな!??

可愛い…けど…世間に晒されてしまう。





…あれから結衣はメガネをつけなくなった。

確かにその分結衣の学校での人気も爆上がりだ。

女友達は常にまわりにいるし、
俺の友達や後輩の男どもだって…


……なんかいい気がしないっ!!!
胸糞腹立つ!


結衣には俺がそばにいない時でも味方してくれる人がいるって事はいい事なんだろうけど……


そして今回の雑誌の件で余計結衣は注目の的になるだろう。


そんな事があっていいのか。



大「はぁ………。」

俺は深々とため息をついた。









先「4時間目の授業始めるぞー。」


先生のその言葉で号令がかかり授業が始まった。



普段あまり授業内容を聞いていない俺は今日もぼんやりと窓の外を見ていた。

俺の席は窓側の1番後ろでとても見やすい位置だ。




校庭のあまりをぼんやりと見ているとサッカーをしているクラスが見えた。


いいなぁ。俺もサッカーしてぇなぁ…


あれ、結衣のクラスだ。



俺はいつの間にか肘杖をついて結衣から目が離せなくなっていた。


結衣はメインで動いてサッカーをしている。

へー結衣って意外と運動神経いいんだな。





と思ったのも束の間。

ボールを蹴って全速力で走っている結衣が思い切り転んだ。


大「あ!転んだ!!」

ありゃ痛えぞ。

集中して結衣を見ていた俺に先生は頭を持っていた教科書で引っ叩いた。


大「痛っ!!」

先「何が転んだ、だ。たまには授業に集中しろ。」

怒っていると言うより呆れている様子だ。

大「あれ?俺声でてた?テストは頑張るから!安心して、先生!」



そう言って俺が笑って見せるとクラスが笑った。

先「全く…お前は。」



そういえば最近俺を怖がる奴が減って来た気がする。

結衣が我が家に来て、学校で話していることも増えたことで俺も少し変わったのかもしれない。


ふとまた校庭を見ると、結衣の周りに駆け寄る友達と、「へっちゃらだよ~」とでも言ってる様子の結衣。


その後再開するものの、さっきまでとは明らかに走り方が違う。



もう少し頼ればいいのに。
弱音吐けばいいのに。


てか、足治ってからそんな経ってないのに無理すんなよな。



もうすぐ昼休みだし、結衣のクラスに様子見にでも行ってみるか。
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