4人のお兄ちゃんは王子様!?
≪結衣side≫







私は急いで部屋へ行った。


私の心の傷はまだなかなか癒えそうにはない。


思い出せば出すほど、吐き気がする。


そして恐怖からか涙が出そうになる。



あの人たちに触られたところ、今でも触られた感触が残ってる。


あの時大雅兄が来てくれなかったら確実に私はヤられていただろう。


いまだに震えが止まらない。







コンコン


大「結衣?大丈夫か?」


私の様子がおかしかったのを察したのか部屋に来てくれた大雅兄。


やば。涙出てるのに。


大「勝手に入るぞ。」

結「まだだめ……」

大「何泣いてんだよ。」

そう言って少し強引に後ろから抱きしめてくる大雅兄。


結「ごめんなさい…」

大「無理に忘れようとしなくていい。大丈夫だから。少し休むといいよ。」

そう言って私の体をヒョイと持ち上げベッドへと運んだ。


大「足、ちょっと見せて。」

結「え?」
 
大「ずっと右足をカバーするような歩き方してたから。」



……気付いてたんだ。


大「すげー腫れてるじゃん。瑛斗に何も言わなかったのか?」

結「……」

大「冷やすの持ってくるから少し横になっとけよ。絶対!動いちゃダメだかんな!?」


そう言って大雅兄は部屋を出て行った。

ここに住んでる人たちはみんな本当に優しい。

こんなにもみんな私を気にかけてくれるだなんて。

私も何か恩返し出来ればいいんだけど。




大「ほら。少し冷てぇぞ。」

結「痛………っ」

大「こんなに腫れるまで我慢しておくとかあほだろ。」

結「ごめんなさい…。」


私がそう言うと大雅兄は腫れてる所を軽く押して来た。

その力は徐々に強くなって行く。


結「痛いっ。」

大「骨折はしてなさそうだな。ちゃんと休めばすぐ治るよ。飯作って持ってくるからしばらく休んでおけよ。」

結「わかるの??」

大「あーー。俺喧嘩しすぎて分かるようになっちまった。」

と言って笑う大雅兄は笑っているけど笑っていないような顔をしていた。


大「あと!!どうしても考えちゃうならこの本貸してやるからこれでも読んどけ。」

そう言うと私の頭にコツンと本を置いて部屋に出て行った。


結「格闘家の教え??」

渡す本のセンス無さすぎ。

思わず1人で笑ってしまった私。


でもこれも嫌な事を思い出さないようにと言う大雅兄の優しさなんだなと思った。



なんか今日は2人に励まされた気がするな。


すると…
コンコン。


秀「結衣ちゃん。ちょっといい??」

結「はい。どーぞ。」


次に部屋に入って来たのは秀先生だ。



秀「これ。今日配られたプリントと授業内容俺なりに軽くまとめておいたから。」


結「へ?」

秀「もうすぐテストだからな??分からないとこあったら聞きにおいで。」

結「ありがとう…。」

秀「うん。じゃああまり長居するとお邪魔だろうから行くね。」



秀先生が出て行くとまたすれ違いで部屋に来たのは琉生さんだった。


琉「具合はどうだ。」

結「もう、大丈夫……です。」


琉「念のため聴診だけしておいていいか?病は気から。心が弱っている時は体も弱ることが多いからな。」


結「は、はい……」

琉「痛いことはしないからそんなに身構えるな。」


と言って聴診器をして胸の音を聞き出す琉生さん。

琉「喘息って前に言われたことある?」


あれ?それ前大雅兄にも言われたような……

結「ない……です。」


琉「ごめん。もう一度いいか?吸って~吐いて~。」


なんか不安になって来た。

琉「もういいよ。じゃあ、俺一旦病院戻るな。また時間できたら様子見にくるから。」



そう言って琉生さんは部屋を出て行った。
なんやかんやみんな心配してくれてるのをとても感じる。

早く治さなきゃな!!


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