記憶喪失の妻は一途な夫(外科医)に溺愛される
「無理はしないように。」
「はい。頑張ってね。」
「もちろん。頑張るよー。じゃあ、行ってきます。」
「行ってらっしゃい。」
「何かあったら「すぐ連絡する」」
玄関でいつも繰り返すこんなやり取りすら幸せを感じてしまうほど、あたたかな日々を送る私たち。

「じゃあ、行ってきます。」
紫苑は忙しい日々を送っている。

毎朝早く出勤する彼に朝食を作り、送り出す私。
なるべく早く帰宅できるようにと、紫苑は朝早く出勤している。

彼を送り出してから家事をしている合間にも、彼からはよく連絡が来るのは変わらない。

紫苑はいつものように私にキスをしてからお腹の赤ちゃんにも話しかけて、出勤していく。
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