記憶喪失の妻は一途な夫(外科医)に溺愛される
「おいしい!」
口いっぱいに私の作った料理を食べている紫苑が私の方に満面の笑みを向けてくれる。

記憶を失う前の私も、きっと彼のこんな表情に幸せを感じていたのだろう。

彼と一緒にいると、心から安心できる。

「よかった。」
素直に彼の笑顔に幸せをかみしめたらいいのに、今の私は素直に自分の気持ちや感覚にも応じられない。

なぜ、こんなにも私は素直になれないのだろうか・・・。

「今日は体調もよさそうだな。」
「うん」
つわりが落ち着いている日も、時間も増えているような気がしていた私。
お腹の中で、赤ちゃんはちゃんと育ってくれていることを感じる。
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