一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
第20話 訪問者
 死屍累々ふたたび――理世(りせ)が出した課題のデザイン画は、自分の力を最大限に出したものでなくてはならない。
 それを全員が、なんとか描き終えた。
 私もきっちり仕上げてきた。
 出勤してきたら、睡魔に負けて床で眠っている人が何人もいて、持参した寝袋が痛まししい。

「やっとできたっ……」

 紡生(つむぎ)さんは震えながら、机に倒れこんだ。
 窓から差し込む眩しい朝日が、事務所内を照らす。

「おお……夜明けよ……。我が人生の夜明け」

 そんなことを紡生さんは口にした。
 達成感からか、薄っすらと笑みを浮かべている。
 紡生さんは体力が尽きたらしく、椅子から転げ落ち、バタッと床に倒れた。

「私の骨を拾ってくれ……恩未(めぐみ)……」
「はい、回収しまーす」

 演技をしている紡生さんを無視して、恩未さんがデザイン画を集めて回った。
 紡生さんは悲しい目で恩未さんを見ていたけど、絡む元気はないらしく、ダンゴムシのようにゴロゴロと床に転がった。

「コーヒー、入りましたよ」

 コーヒーが入ったカップを全員に配る。

琉永(るな)ちゃん。余裕だねぇ」
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