一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
 さっきのショーをみる限り、清中琉永は『Lorelei(ローレライ)』ではない。
 彼女に合うのは『Fill(フィル)』だ。
 
 ――諦める? 今までに諦めたことがあったか? 一度もない。

 手に入らないものが存在することを知り、それは胸が苦しくなるものなのだと知った。

 ――清中琉永のブランドを立ち上げるには早い。無名すぎる。だが……

 どちらが彼女にとってベストなのか迷い、考えていると、スマホの着信音が鳴った。
 悠世からだった。

『理世。いい人材はいたか?』

 そう悠世に言われた瞬間、迷いは消え、とっさに嘘をついた。

「いや。いない」
『こっちもだ。今年は不作かな』
「そうだな」

 俺は無意識に決断していた。
 彼女にとっていいほうを選択し、そして、今はおとなしく引こうと決めた。

 ――まあいい。また彼女と会えるだろう。この業界にいる限り。

 リセとして、自分がモデルを続ければ、いずれ彼女のほうから俺を見つける。
 その時は。

「彼女は必ず、俺を見る」

 たった一瞬で、君を魅了し、俺の手の中へ捕らえてしまおう。
 俺から逃げられないように。
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