一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
 窓の外には月がかかっていたけれど、パリの夜に見た月より、満月に近い月。

 ――月の満ち欠けするだけの時間なのに、

 同じことを考えていたのか、理世は窓の外から、私へ視線を移す。

「琉永のデザイン画を見た。贔屓目なしで、とてもよかった」
「本当!?」
「ああ。男女兼用のデザインというのもいい。ジェンダーレスな服はこれから求められると思う」
「そうなの! 『Fill(フィル)』のブランドにも合うし、前から作りたいと思っていて。漠然としていたイメージが、モデルのリセを見たらイメージがどんどん膨らんできて、やっと描けたの」

 前々から、雑誌でリセを見ていて、考えていたことが、パリでの出会いで、私の頭の中にあったイメージが形になった。
 
「俺か」
「そう。すごく素敵だった。ランウェイを堂々と歩いていて、すごくかっこいい女性だなって思ったの」
「女性ね」

 理世は苦笑したけど、私は心から褒めている。

「服の飾りは取り外しできるようにして、メンズとレディース、どちらにも置けたらいいなって」
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