一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
 オレンジ色の灯りに照らされた夜の庭を眺めながら、クロッキーと鉛筆を手にして、理世とリセを思い浮かべる。
 
 ――どちらも私にとって、最高の存在。

 気がつけば、浮かんだデザインを延々と描き続けていた。

琉永(るな)。電気もつけないで描いていたのか」

 集中しすぎて、部屋を明るくするのを忘れていたらしく、理世はアトリエに入るのと同時に、壁を照らすオレンジ色の照明をつけた。
 優しいオレンジ色の灯りが、理世の姿を映し出す。

「理世、ありがとう」
「いいけど、頑張りすぎだ」
「頑張ってるのは理世のほう。私は理世と並びたくて頑張ってる」

 理世が座るためのクッションを私の隣に置いた。
 それを見て、理世は微笑む。

「……そうか。言われるまで気づかなかったな。これが俺の日常で、自分では頑張っている意識はなかった」

 理世はトレイにふたつカップをのせ、そのうちのひとつを私に差し出した。
 触れたカップは温かく、夜の闇に白い湯気がふわりと漂う。
 シナモンスティックが添えられたホットミルクには、ラム酒が入っていた。
 シナモンの香りに混じる微かなラム酒の香りが、私の眠気を誘う。
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