一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
「俺が好きになったのはデザイナーの琉永だ」

 その言葉を聞いて、私は夢を諦めなくていいんだとわかった。
 ホテルのロビーで、ぶつかった時もそうだった。
 私の作ったワンピースを褒め、絶対に否定しなかった。

 ――もしかして、それより前から私を認めてくれていたの?

 パリでも偶然じゃなくて、私を見つけてそばにいたのだ。
 理世は私の手の自分の手を重ね、指を絡める。

「琉永も俺に誓いの言葉を」

 理世が欲しい言葉がなんなのか、私はわかっていた。
 そして、それは私が言いたい言葉。
  
「理世が好き。会ったときからずっと――」
「俺もだ」

『これからも』という言葉を待てずに、理世は私の唇にキスを落とす。
 目を開け、理世の顔を見ると、その背後には月が見えた。
 パリで会った時は、細い月だったのに今は満月に近い月が、空に浮かんでいる。

 ――月と同じ。私の理世への気持ちが、満ちていく。

 私と理世の誓い。
 それはまるで、神聖な儀式のようで、月に照らされた静かな世界に二人きり。
 結婚指輪をはめた私達は、もう一度キスをした。
 
 ――誓いのキスよりも深いキスを。
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