一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
 甘いキスはラムとシナモンの香りがした。

「キスが甘い」
 
 同じことを考えていた理世は、唇を離し、目を細めて微笑む。
 月あかりに見える理世の美しい顔は、まるで人ではないみたいに見えて、どこかへ行ってしまわないよう体を抱きしめた。

琉永(るな)。焦らなくても大丈夫」
「え……こ、これはそういうのじゃ……」

 顔を見ると、悪戯っぽく笑っていて、さっきとまるで違う。
 自分が理世にからかわれたのだと、わかった。
 
 ――前言撤回。やっぱり理世は人間だ。

 私に向ける顔はちゃんと人間としての感情があふれてる。

「琉永」

 人間である証拠に、私の体に触れる理世の手から、体温を感じる。 
 さっき飲んだアルコールのせいか、体が熱くて、床の冷たさが心地いい。
 パリの時と同じ暗闇にいるのに、あの時は違う鼓動の速さ。
 それは、今日、私が――

「ぜんぶ、俺のものにしていいか?」

 ――理世のものになるから。

「うん」

 髪から、指から、足のつま先まで、理世は私にキスを落とす。
 全部、自分のものだと主張して。
 唇が首筋をなぞり、ちりっとした痛みと同時に、赤い痕を残す。

「琉永、俺にキスをして?」
「あ……」

 もうなにも考えられず、言われた通りに理世を見て、深くキスをする。
 私からのキスはたどたどしく、理世が舌を絡め引きずり出す。
 これ以上、繋がれないというくらい私と繋がって、理世は私を求める。
 
 ――理世に酔う。

 あなたは甘く私を酔わせる。
 何度でも。
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